到達目標と講座概要
「芸術」という言葉による障壁を解き放ち、生活環境に深く関わる「芸術」的活動や思考の魅力と役割を様々な分野での事例を通して再考したい。
芸術は美術館での展示物だけを指している言葉ではありません。人類史は創造的活動の痕跡とも言えます。如何なる時代においても人は、そして社会は刺激となる芸術的創造を求めてきました。それが活力への高揚感を導く事に留まらず、戸惑いや大きな負の遺産へと繋がる恐れがあろう時でさえ・・。しかし、この創造の礎としての「芸術」の定義も価値も役割も方法も千変万化、時代とともに蠢く存在であり、国事政策から幼児玩具、景観問題まで、その対象領域は幅広い。
本講義では、近現代の日本において大きな役割を果たした幾つかの芸術的営みや作家に焦点を当て、その思想や社会的背景を概説するとともに、人間の常なる創造的行為への期待や不安などに潜む人間性や歴史文化などについても再考したいと考えています。
また、「伝統芸術」「ポップカルチャー」「ITメディア」「自然環境」などの側面から、複雑に横断する創造活動をテーマに自らが取り組んだ「神戸ビエンナーレ」などのアートプロジェクトも事例として取りあげ、「芸術」が担う社会的な役割や可能性についても説明します。