到達目標と講座概要
「蝉しぐれ」の全文完全音読
京都芸術大学の東京藝術学舎が完成したのは2010年の春のこと。その完成と同時に当「松平定知の朗読塾」の講座も始まった。だから、学舎もこの朗読塾も、今年がまる15年目ということになる。そして私は今年度(2024年度)一杯で、引退する。
NHK在職時に、ふとした機会に偶然、手にした藤沢周平作品に魅了され、それからというもの、NHK時代も、退職後も、周平作品はいつも私の傍にあった。私は、周平作品朗読を私のライフワークにしようと思った。「私の本棚」での朗読も思い出に残るが、ラジオ深夜便で毎週1回の周平作品朗読が数年続いたことも忘れられない。この講座もそのライフワークの一環である。嬉しさいっぱいで始まったこの試みも、気が付いたら、まず、あっと言う間に7年が経っていた。そのうち生徒さんや大学側から「古文も一つ、、、、」という話があり、奥の細道、平家物語、徒然草、たけくらべ、、、、どうせやるから一字一句、書かれた「そのまま」を、一切のスキップ無しに「全文完全朗読」を目指し、完遂した。「徒然草」の場合は、2年かかった。この「全文完全朗読」の試みは、生徒さんの達成感も高かったと思う。こうした「2年がかり、全40回で一作品」という試みを許して下さった、学校側のご配慮、ご英断に、感謝々々である。この他に、ま、「私のサービス」として、授業の隙間時間を見つけては、鴎外や漱石や芥川や賢治や太宰らの短編を一人朗読した。なにもかも想い出多い講座だった。そして3年前にまた「周平さん」に戻り、私の「朗読塾」も今年度で15年目。いま、その藤沢氏の代表作「蝉しぐれ」で大団円となる。生徒さんと大学には、感謝しかない。皆さん、本当にお世話になりました。本当にありがとうございました。さあ、有終の美を。
※本講座は、京都芸術大学履修証明プログラム「朗読2」に該当します。