到達目標と講座概要
映画の可能性、例えばそれが地域活性化にも繋がる事を知る
群れから離れるように一人「オレオレ詐欺」の旅を続ける若い男。都会から遠く離れた熊本の天草で、彼の電話に一人の老女が出た。受け子として金を受け取りに行った男を、老女は「孫」と思い込み、そのまま奇妙な同居生活が始まる。そこでの時間は、これまで彼が経験したことのない「自分の人生から抜け落ちていた」穏やかな時間だった…。
京都芸術大学映画学科が、プロフェッショナルと学生の混成チームで劇場公開映画を製作する【北白川派】プロジェクト。その第7弾『のさりの島』の公開を記念しての特別講座です。異なる歴史や価値観を持った人に対する不寛容さが広がり、「自分の隣人ですら不安に感じてしまう」今の世界に対し、物ごとを〇や×で二分化しない日本的な感性を伝えたい。そんな思いを込めてつくられた映画です。
講座では、2021年5月公開の映画『のさりの島』を劇場公開よりも先に鑑賞いただいた後、映画が誕生した経緯や、映画製作を通じて「私たちが撮影地の天草で体験したこと」を監督自らお話しします。映画とはその製作にさまざまな人が関わることで、思いがけない一期一会が生まれます。天草の皆様と、学生やスタッフ、キャストとの出会いが地域に光をもたらし、その成果物がこうして一人歩きし多くの皆様とスクリーンを通じて出会い続ける。これらも芸術の持つ力です。映画芸術の持つ多様な可能性について、皆さんと考える機会にできればと思っています。