到達目標と講座概要
風土のなかでの創造性を観察する力を身につける
「民藝(民衆的工藝)」と「丸石神」と呼ばれる道祖神。一見なんのつながりもないように見えますが、どちらもわれわれの身近にあるものです。丸石神は言うまでもなく「石」ですが、われわれには「石」を作り出すことはできません。また「民藝」というものも、われわれが意図して作り出せるものではありません。どちらも人智を超えた自然の営みが生み出した畏敬の念を抱かざるを得ない存在と言えます。本講座では、それらに通底する魅力とは何かを確かめるべく、民藝運動における「蒐集」に着目して、山梨県を訪ねます。また、柳宗悦に朝鮮文化への関心を呼び起こさせた浅川伯教・巧兄弟の故郷(北杜市高根町)を訪れ、その足跡や、浅川兄弟が見ていた風景を確かめます。そして、武者小路実篤や志賀直哉ら白樺派の文人達の夢見た幻の美術館を八ヶ岳南麓で実現したという清春芸術村を訪れ、今に息づく芸術の魂に触れ、これからの芸術活動について考えます。
当時、かえりみられることがなかった李朝白磁に注目し、熱心な蒐集家となった浅川伯教のその後の活動にも触れ、自らの眼を頼りに「ものの魅力」を探求していきます。
※本講座は京都芸術大学履修証明プログラム「ネオ民藝Ⅱ-2」に該当します