到達目標と講座概要
全五回の連続講義で多角的に考える
「現代に生きる能」の時空
昨年の春の『井筒』から始まったこの講座では、その後、『井筒』『山姥』をめぐってさまざまな視点からそれぞれの魅力を考えてきましたが、4回目となる今回は、『源氏物語』の六条御息所を主人公にした『葵上』を取り上げます。『葵上』は世阿弥がライバルだった犬王(道阿弥)の演技を絶賛したことが知られている作品ですが、世阿弥が見た『葵上』は現在の『葵上』とは演出面の違いがかなりあります。また、曲名は『葵上』ですが、『葵上』には葵上は登場しません。そうしたことを紹介しつつ、今回も映像は平成24年に春秋座で上演された観世銕之丞氏の『葵上』をもとに、「現代に生きる能」の魅力を考えてみることにします。今回のゲストは金剛永謹氏ですから、金剛流の『葵上』について知るよい機会になるものと思います。