到達目標と講座概要
「センスがないから花なんかいけられません」。切花に携わる中で、たくさんの方がそう仰るのを見てきました。
日本の暮らしや文化は、いつの時代も季節と共に生きることで発展してきました。季節の象徴である花との関わり方は、日本人の暮らし方そのものであると言っても過言ではありません。そのはずの日本で、なぜたった一輪の花をいけることが、こんなにも難しくなっているのか。その問いに答えるには、花の種類や技術だけでなく、現代の住環境や価値観の変化、普段は語られない切花の流通や消費にも触れなければなりません。
「花をいける」というこの国が築き上げた最高の文化を、新たな視点で、徹底的に見つめ直します。私たちに必要なのはセンスではなく、歴史を学び現状を正しく理解しようとする視座なのです。
“センス”や“伝統”という言葉による思考停止に陥らず、「当たり前」を疑う社会学的な思考の方法を学んでいただきたい。そして、自信をもって一輪の花をいけられるようになっていただきたいと思います。