到達目標と講座概要
イラストレーションの変遷と現在地を知り、その体系化を目指します。
アートという言葉はさまざまな場面で使われますが、その意味は「美術」を指すこともありますし、大まかに「作品」を指すこともあります。また標準的な成果とは一線を画す表現や、その創作行為自体を「アート」と指し示す場合もあります。私たちは会話や文章でその都度定義しなくても、前後関係によってアートの意味を捉えて共有したり、あるいは多少ズレたりしても気にせずにコミュニケーション活動を営んでいます。
この講義では「アート」の過剰な需要が始まった1980年代のメディア状況をふりかえり、その内実を観察することで「イラストレーション」の意味を浮き彫りにします。またイラストレーションを読み解く上で肝要な近代デザインが、美術史から分出した背景を探り、美術・デザイン・イラストレーションをめぐる連関と、その上位概念に通底する「形態と色彩」の深淵について考察します。